看護師の資格・経験を生かして一般企業で働くという選択肢があります。
特に昨今では、社員の傷病対策やハラスメントなどによるメンタルヘルス対策として看護師を採用したい企業も増えています。
医療施設とは違い、一社当たりの求人数、採用人数は少ないため、少し倍率は高めになる傾向があります。
多くの一般企業では、夜勤もなく、土日祝もお休みのお仕事が多いので、病院での働き方が合わない看護師さんや子育て中の看護師にとっても人気の求人となっています。
なぜ今、企業看護師が求められるのか
前述もしましたが、昨今、企業内での病気やケガの対応はもちろんですが、メンタルのケアが重要視されています。
パワハラ、セクハラ、モラハラ、出社拒否、無断欠勤、うつ…。
そのような問題を抱えている経営者は意外と多く、上記のような社員のフォローやトラブル対応が出来るナースの採用をしている企業は増えています。
また、昔と違って、ナースも電子カルテやパワーポイント等、業務上でパソコンを使う機会が増え、PC慣れしていきています。
さらに、職業柄、相手の話を聞きながら素早くメモを取ったり、文章力や対人コミュニケーション能力にも長け、高齢の患者さんやその家族の難しい対応をこなしてきた看護師さんなら、一般企業でも十分に活躍できます。
ビジネスマナーやスキルは後からついてきます。
たくさん勉強し、ハードな実習や実務をこなしてきた経験から、その辺の事務員や営業マンには負けないパワーを持っています。
企業経営者にとっても、そんな看護師さんは引く手数多ということです。
企業看護師はどこで募集しているの?
一般企業が看護師を募集している求人などは、あまり見かけないですね。
看護師の企業求人はとても倍率が高いため、応募が殺到しないよう未公開の求人として紹介会社に依頼している場合が多いです。
また、一般の求人広告に募集を掲載しても、なかなか看護師さんには見てもらえないという理由もあり、看護師専門の紹介会社に依頼するのが一般的になっています。
看護師にとっても一般企業に慣れていないので、募集企業がどんな会社なのか事前調査して内情を教えてくれる紹介会社・転職サイトは心強い存在ですね。
一般企業で看護師を必要としている職業
1.企業内医務室
大企業になると社員数も多くなり、労働安全衛生上の規定により、産業医を配置するなど、社員の健康管理や傷病対応、感染対策等が必須になります。
医務室と聞くと保健師のイメージが強いですが、看護師でも問題ありません。
メーカーなどにおいては、怪我や体調不良なども多く、医務室を常設している企業が多くあります。
基本的に、看護師または保健師で1~2名、パートや派遣も使いシフトを組んでいるところが多いです。
1人または少人数で対応するため、責任範囲は広くなりますが、病院のように毎日患者が来るわけではないので、比較的ゆったりと仕事が出来ると思います。
年に数回、健康診断やインフルエンザ予防接種の対応で忙しい時期があるくらいです。
2.保健室/学校看護師
学校においても看護師の求人はあります。
国公立の学校の保健室に就職するには「養護教諭」の免許が必要ですが、私立の学校では養護教諭の免許が不要なところもあり、看護師や保健師の資格のみで働くことができます。
最近は、資格云々よりも即戦力として経験豊富な看護師が求められることも多いです。
保健師や養護教諭の資格を持っていても、具体的な経験が無ければあまり役に立たず、特にメンタルケアにおいては、本人自身いがメンタル的に強くないと続きません。
精神科や救急医療などの最前線で経験を積んできた看護師は、学校などでも大いに活躍できる人材と言えます。
3.看護師派遣・紹介会社のエージェントまたはコーディネーター
看護師専門の人材派遣や人材紹介を営む会社はたくさんあります。
病院や企業と求職者の間に立ち、就職/採用のお手伝いをする、いわゆるエージェントのお仕事です。
人材会社として、現役のナースを社員として取り込むことによって、看護師側の本音やリアルな声を聞くことができ、看護師目線に立った研究やサービスの充実につなげることができます。
職種としては、コーディネーターやエージェントに加え、内部コンサル的な立場で、サービスの企画・拡充を図る部署や、アドバイザーとして経営者直下のポジションで新規事業の立ち上げや新サービスの商品化に携わることもあります。
4.保育園/幼稚園の看護師
保育所や幼稚園などで、園児の健康管理や傷病対応を行なうお仕事です。
保健室にも似た業務ですが、対象が乳幼児ということもあり、日々の患者も多くなります。同時に保育業務もしながらという勤務形態が多く、学校のように保健室に待機しているような勤務ではないです。
保護者からの相談やモンスターペアレント対応などもあり、厳しい部分もありますが、病院で培った経験が活かされる場でもあります。
特に、小児科の経験のある方や、子供好きの看護師さんには最適なお仕事です。
5.フィールドナース
医療機器メーカーや医薬品メーカーで、営業マンに同行したり、単独でも営業先に訪問し、その商品の機能や使い方を解説・説明したりします。
勤務スタイルとしては、基本的にスーツで、ドクターや薬剤師などを相手に営業します。
看護師さんは、医療業界での専門用語や隠語、医療現場のリアルな声を拾うことができるため、医療機器メーカーや医薬品メーカーの営業マンにとっては心強い存在となります。
6.コールセンター
コールセンターなので、基本的に常に電話での相談業務が中心です。
医療機関、製薬会社、自治体が行なっている健康相談サービス、健康食品会社、健康器具メーカーなどに需要があります。
対面での対応が苦手なナースや、髪型にこだわりがあるとか、化粧やネイルが奇抜で普通の医療機関などでは働けない!というナースには良いと思います。
ただ、日々電話で喋り続ける業務のため、ストレスも多く、長く続けるような仕事とは言い難いです。
派遣やアルバイトでの求人が圧倒的に多いです。
7.治験コーディネーター(CRC)
新薬開発に関する治験において、各医療機関や製薬会社との間に立ち、必要な手続きや調整を行なう職業です。
被験者への説明や看護ケア、関係者とのスケジュール調整など、治験を進める過程でトラブルやミス、遅延等が発生しないよう努めます。
勤務先としては、SMOと呼ばれる治験専門の企業で、治験コーディネーターを育成し、医療機関等に派遣する業態です。
実は、治験コーディネーターって資格不要なのですが、業務の内容的に看護師や薬剤師の資格が必須の求人がほとんどです。
8.臨床開発モニター
新薬開発に際して、治験が適正に行われているか検査するのが臨床開発モニターの仕事です。
治験コーディネーターと似ていますが、臨床開発モニターは被験者に接することはありません。
製薬会社の立場として医療機関等に出向し、医師や治験コーディネーター、関連部署などと打ち合わせを行ない、治験に関する流れやデータを報告書にまとめます。
データ分析や資料作成において、エクセル関数等も多用するため、それなりのパソコンスキルが必要です。
9.その他
他、イベントナース、ツアーナース、レジャー施設、スキー場などでも求人があります。
これらは比較的、短期・単発の派遣やアルバイト求人が多いので、派遣会社に登録すると面白い求人が見つかったりします。
最近では、一般企業も景気が上向いており、採用も活発化していますね。
看護師を採用したい企業も増えていますで、企業で働きたい看護師さんにとっては好待遇で転職するチャンスですね。
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