実は、以前にも同様の記事を書いたのですが、当ブログで人気のコンテンツであり、改めて自分自身の情報整理も含めて記事にしたいと思います。
重複するコンテンツもあるかと思いますが、ご了承ください。
さて、看護師の世界では、奨学金制度がとても充実しています。
その奨学金の多くは、病院等の医療機関が制度として設けており、看護学校に通うために必要な学費の大半または全額を無利子で貸してくれます。
そして、卒後は、看護師としてその病院で数年間勤務すれば、奨学金の返済が免除される仕組みがあり、それを「お礼奉公」と呼びます。
最近では、お礼奉公中に退職(転職)や精神的理由で長期休職してしまうナースも多く、その際には「借金の返済」という大きな重荷がのしかかってきます。
奨学金とお礼奉公の概要
看護の世界では、「お礼奉公」という文化が今も残っており、看護学校卒業後に奨学金を借りたその病院に就職し、一定期間勤務することで、奨学金の返済が免除される仕組みになっています。
では、なぜそのような制度が充実しているのか。
それは、看護師さんはまだまだ売り手市場であり、病院にとって、基準数の看護師を確保できるか否かは死活問題となるからです。
ですので、奨学金とお礼奉公の制度は、看護師採用に苦戦している病院にとって、確実に看護師を確保(採用)できるツールとして、多く利用されています。
もちろん、一般の求人広告や就活サイト、学校求人等も駆使して採用も行ないますが、そう簡単に必要数の看護師を採用できないのが実情。
頑張って多くの広告費を投入しても、確実に採用できる保証はありません。
ですので、奨学金とお礼奉公の制度は、確実に若い看護師を採用でき、数年間はしっかり働いてくれるという半保証付きの理にかなった制度なわけですね。
看護師の資格取得には、看護学校の卒業が必須となります。
短大・専門学校で3年、大学で4年、看護科のある高等学校で5年(5年一貫校)…。
その間の学費は膨大な金額となります。
看護師を目指す子を持つ親にとって、この奨学金制度はとても有難い制度ですし、学生にとっても就職の心配が無い為、夢のような制度に思えますね。
しかし、お金が絡むだけに問題も多く、トラブルが後を絶ちません。
最も多いトラブルはお礼奉公中の退職(転職)
返済義務が免除されるのは、あくまでお礼奉公を全うした場合のみ。
途中で脱落してしまうと、途端に返済義務が生じ、全額または“残額”の一括返済を求められてしまいます。
「残額」というのは、全貸与金額から勤続期間分を差し引いた金額となります。
病院によっては、話し合いなどにより、退職までのお礼奉公の期間分を差し引いて返済額を少なくしてくれる場合があります。
例えば、3年で180万円(月々5万円)の奨学金を受け、3年間のお礼奉公で返済免除の条件で、1年間で退職した場合。
180万円-(5万円×12ヶ月)=120万円
要返済額は 120万円 となります。
減額されたとはいえ、それでも大きな金額ですね。
できれば、看護学校からお世話になっているその病院でお礼奉公を全うすることがベストでしょう。
しかし、場合によっては、人間関係で悩んでいたり、インシデントを起こして自信を無くしたり、今の病院・看護部の考え方について行けない等…、様々な理由で退職したくなることがあります。
そうなると、3年が果てしなく長く感じ、借金して奨学金を返済してでも退職したくなるんですね。
我慢して働いてうつ病を発症してしまう人もいますし、そんなことになっちゃうと人の看護なんてしてる場合じゃなくなります。
そんな悩める看護師さんのために、一部の病院では救済制度が設けられています。
奨学金を肩代わりしてお礼奉公中の退職を支援(救済)してくれる病院がある
要は、あなたの代わりに奨学金の残額を肩代わりして、一括で立て替え返済してくれるというものです。
ケータイで言う「乗り換え」や「ローンの借り換え」と同じ考え方です。
奨学金の借り先を乗り換えるわけです。
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なぜ病院は奨学金を肩代わりしてまで看護師を採用するのか
理由は簡単、単純に看護師が必要だからです。
学生向けの奨学金と同じで、奨学金の返済を肩代わりすることで確実に看護師を採用でき、一定期間、その病院で働いてもらえるというメリットがあるからです。
看護師の数が足らず、診療報酬を落としたり、7対1を落として大赤字になった時の方が、マイナスインパクトが大きくなるので、そのリスクを考えれば奨学金の肩代わりも安いものというわけです。
また、医療業界では、何としてでも看護師を集めなければいけないタイミングがあります。
例えば…
- 新病院の立ち上げ
- 新病棟の立ち上げ
- 関連施設のオープン
- 新築移転
- 診療報酬の改定に伴う増員
- 退職や産休・育休が重なった
等…、常に変化や人の入れ替わりが多い業界であり、このようなタイミングにおいては、ありとあらゆる手段を尽くして看護師数を揃えなくてはいけないわけです。
しかし、新卒採用と同様に、既卒ナースの中途採用も厳しく、即戦力となる看護師の採用は容易ではありません。
そんな中、奨学金の返済を肩代わりすることで、通常の奨学金より安く、しかも経験のある看護師を確実に採用できるこの「肩代わり制度」は、非常に効率の良い採用手段なのです。
ただし、そのような制度を設けている病院は、そう簡単には見つかりません。
病院のホームページに掲載しているところもありますが、ごく僅かでしょう。
引き抜きのような形での採用となるため、あまり一般には公開されていないのです。
このような情報は、時間をかけて幅広く情報を集めることが大切です。
焦りは禁物です!
今悩んでいる方や、退職を考えている方は、結論を出す前に先ずは情報収集から始めてください。
気長に情報を集めて、常にアンテナを張り、タイミングを逃さないようじっくり探しましょう。
情報収集は、やはり看護師専門の転職サイトの利用が便利
日々多くの医療機関と取引し、多くの情報を更新している看護師専門の紹介会社(転職サイト運営会社)は、奨学金制度の情報もしっかり把握しています。
ただし、わけのわからない怪しいサイトに登録しないように十分気を付けてください。
ある程度、知名度の高いサイト、大手の優良企業が運営するサイトに限定して利用されることをおすすめします。
▼ おすすめはこちら ▼
もちろん、ご自身でもインターネット検索や看護学生向けの就活サイトなどで探されても良いですが、ブラック病院の求人や怪しい紹介会社に捕まらないようにくれぐれもお気を付けください。
できればお礼奉公が終わるまでは今の病院で続けることがベストですね。
情報収集しているうちに、お礼奉公の期間も増え、返済額が少なくなりますし、そのうちに時間薬で悩みが解消したり、病院の組織が変わり新たな展開になったり、うまく行けば退職しなくて済むかもしれません。
繰り返しになりますが、焦りは禁物です!気長に慎重に行きましょう。
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