2006年の診療報酬改定で看護配置7対1が制定されて以来、病院の看護師争奪戦が激しく繰り広げられてきましたが、ここ数年、少し沈静傾向にあるようです。まだまだ偏りがあり、看護師が充足しつつあるのは都心部の急性期病院や大学病院、一部の人気病院のみですが、それらの病院では採用倍率がかなり高く、新卒採用等では狭き門になっているようですね。
新人ナースの教育研修ガイドライン
ここ近年は、夏休み前には定員に達し、エントリーを締め切る病院も珍しくなく、大学の看護学生でも、第一志望の病院で落とされたという話をよく聞くようになりました。
また、厚生労働省から新人看護職員研修ガイドラインが発表され、新人看護師を受け入れる病院に努力義務として通達されました。その為、多くの(ちゃんとした)病院では、厚労省のガイドラインに基づいた新人研修を行うため、新卒採用の人数を以前より制限し、大量採用は控えて、質を重視した採用に切り替えつつあります。
さらには、7対1の厳格化、地域包括ケアへの移行などにより、7対1病棟が減少傾向にあり、看護師の求人は減少しつつあります。
看護師・看護学生の急増
その半面、看護科のある大学等が急増しており、求人は減っているのに、看護学生・看護師の人口は年々増加。看護師の就職事情は以前ほど有利ではない状況になってきています。また、一部の専門学校などでは、現役の若い学生が集まらず(大学に取られる為)、年齢や学力レベルのハードルを下げて学生を集めている為、年齢層が高く学力レベルの低い社会人学生が集まり、質の低下が顕著に表れています。(あくまで一部の学校・地域においてです。)
求められる看護の質
一昔前までは、看護師なら就職は安心!というのが一般的に浸透していましたが、今はそうでもなさそうですね。
数が充足しつつある今、やはり求められるのは人材の質。看護師も量より質が求められる時代になってきました。質と言っても、新卒採用においては、学力よりも、若くて(人件費が安く済む)元気で健康な現役の看護学生が “ 質の高い人材 ” として求められます。
既卒ナースの人材需要増
看護の世界はまだまだ女性が中心で、結婚・出産・子育て等を経て、パートで復帰というパターンが多く、一生バリバリ働く看護師さんはそんなに多くありません。
そして、7対1の厳格化、厚労省のガイドライン、看護の質の向上等が複雑に絡み、新卒看護師の大量採用では教育の観点で(質の低下を招くため)看護配置の維持や質の向上が難しくなる為、今後は既卒(中途採用)で即戦力の看護師が求められる時代になって来ています。
もちろん、7対1を維持するための頭数は必要となりますが、それを新卒の大量採用で埋めるのではなく、足らずは中途採用で埋めると言う考え方です。
特に2年~3年以上の臨床経験がある若手の看護師は引く手数多と言えるでしょうか。
逆に考えれば、3年から5年しっかり看護経験を積み、しっかりと看護技術を身につけておけば、どこに行っても引く手数多。自分のやりたい看護、進みたい道に進みやすくなるということです。
私が勤める病院でも、新卒採用の人数を制限し、即戦力である中途採用に注力する方向に動いています。
なので、看護師さんの転職はこれからがさらにアツくなりそうです。
退職は早まらず、転職は焦らず慎重に!
そして、まだ経験の少ない看護師さんは、辞めたくなっても早まって早期離職しないよう、出来るだけ今の病院でもうちょっと頑張ってみて、最低でも2年は経験を積んでから転職するようおすすめします。
中途半端に経験不足で転職しちゃうと、次の病院で本当に苦労します。また、しっかりした病院ではなかなか受け入れてもらえず、結局は人手不足で頭数を揃えるだけの採用をしている病院にしか受け入れてもらえなくなります。
とりあえず、今すぐ転職しなくても、活動は今からでもできます。焦って転職するより、1年先、2年先を見て、長い目で病院を探す方が安全で楽しいです。
先ずは自分に合いそうな病院探しから。そして、気になる病院が見つかったら、病院見学に行ってみると良いと思います。他の病院の話を聞いたり、病棟を見ることで、新たな価値観が見つかったり、看護や仕事への考え方も変わってくるかもしれません。
いい病院に出合えれば、そこへの転職を目標に頑張るのもありですし、その病院の看護部長が「今からでもいいからおいで」と言ってくれるかもしれません。
しんどい時はどうしても思考力が低下しちゃいますが、早まって勢いで退職しないよう、しっかりと先を考えて計画的に行動してくださいね。
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